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SDK同梱ドキュメント:PythonModuleInstallManual

概要

Python版のAdamAppで外部ライブラリを使用する場合は、Pythonモジュールのコンパイルが必要です。

本チュートリアルでは、Python用外部ライブラリをビルドするための環境構築~サンプルモジュールのコンパイルまでの手順を解説します。

サンプルモジュール
  • NumPy 1.14.9

  • OpenCV 3.4.7

目次

Dockerのインストール

Docker環境は、AdamAppSDKがインストールされたUbuntu上に構築します。

従って、あらかじめAdamAppSDK開発環境の構築が必要となります。

また、Docker環境構築時に、Ubuntuのパッケージ管理システムであるapt (apt-getコマンドなど)を用いて、ソフトのインストールを行います。

apt-getが可能なインターネット接続と、インストールが可能な権限(root権限など)が必要になりますので、それらの設定が完了した後、Docker環境構築を開始してください。

以降の節においては、Docker公式ドキュメントに従った環境構築手順を記載します。

また、チュートリアルにおけるインストール対象OSは、以下の通りです。

Ubuntu 18.04.2 LTS (bionic)

Ubuntu 16.04及び、Ubuntu 18.04.02以降を使用している方は、本ページとともにDocker公式ドキュメントを参照してください。

Docker環境の構築

パッケージインストール

Docker環境の構築に必要なパッケージをインストールします。

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install \
    apt-transport-https \
    ca-certificates \
    curl \
    gnupg-agent \
    software-properties-common \
    qemu-user-static

リポジトリ追加

Docker社が提供している、Ubuntu用aptリポジトリをシステムに追加します。

まず、Docker社オフィシャルPGPキーをシステムに追加します。

$ curl -fsSL https://download.docker.com/linux/ubuntu/gpg | sudo apt-key add -
OK

インターネット接続にProxyサーバが必要な場合は、-xオプションを使用します。

ProxyサーバのURL及びポート番号は、使用するProxyサーバに即したものへと変更してください。

$ curl -x http://proxy.example.com:8080/ -fsSL https://download.docker.com/linux/ubuntu/gpg | sudo apt-key add -

PGPキー追加後、以下コマンドを実行し、fingerprintが実行結果のようになっているか確認してください。

$ sudo apt-key fingerprint 0EBFCD88
pub   rsa4096 2017-02-22 [SCEA]
      9DC8 5822 9FC7 DD38 854A  E2D8 8D81 803C 0EBF CD88
uid           [ unknown ] Docker Release (CE deb) docker@docker.com
sub   rsa4096 2017-02-22 [S]

次に、Docker公式aptリポジトリをシステムに追加します。

$ sudo add-apt-repository "deb [arch=amd64] https://download.docker.com/linux/ubuntu $(lsb_release -cs) stable"

インターネット接続にProxyサーバが必要な場合は、環境変数”http_proxy”と”https_proxy”を以下のように追加してください。

ProxyサーバのURL及びポート番号は、使用するProxyサーバに即したものへと変更してください。

$ sudo http_proxy=http://proxy.example.com:8080 https_proxy=https://proxy.example.com:8080 add-apt-repository "deb [arch=amd64] https://download.docker.com/linux/ubuntu $(lsb_release -cs) stable"

aptリポジトリ追加後、/etc/apt/sources.listにリポジトリが追加されていることを確認してください。

$ cat /etc/apt/sources.list
(省略)
deb [arch=amd64] https://download.docker.com/linux/ubuntu bionic stable
# deb-src [arch=amd64] https://download.docker.com/linux/ubuntu bionic stable

Docker実行用ファイルのインストール

Docker実行に必要なファイルを、aptを使用してインストールします。

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install docker-ce docker-ce-cli containerd.io

(任意)Dockerのプロキシ設定

インターネット接続にProxyサーバが必要な場合、DockerにProxy設定を行う必要があります。

公式ドキュメント を参照して、Proxy設定を行ってください。

Dockerコマンドの権限変更

dockerコマンドを一般ユーザでも使用できるように設定を変更します。

$ sudo usermod -a -G docker $(whoami)

実行後、一度ログアウトし、再度ログインしてください。

Docker実行確認

Dockerが使用できるか確認します。

$ docker run hello-world
Hello from Docker!
This message shows that your installation appears to be working correctly.

To generate this message, Docker took the following steps:
 1. The Docker client contacted the Docker daemon.
 2. The Docker daemon pulled the "hello-world" image from the Docker Hub.
    (amd64)
 3. The Docker daemon created a new container from that image which runs the
    executable that produces the output you are currently reading.
 4. The Docker daemon streamed that output to the Docker client, which sent it
    to your terminal.

To try something more ambitious, you can run an Ubuntu container with:
 $ docker run -it ubuntu bash

Share images, automate workflows, and more with a free Docker ID:
 https://hub.docker.com/

For more examples and ideas, visit:
 https://docs.docker.com/get-started/

Dockerイメージ作成

この章では、3章で説明したDockerを使用して、Pythonモジュールコンパイル用のDocker Imageを作成します。

Dockerfile作成

Docker Imageを作成する場合、一般的にDockerfileと呼ばれる、Image作成手順を記載したファイルを作成します。

ひな形として、NumPy及びOpenCVモジュールのコンパイルに必要なImageを作成するためのDockerfileをexternal/build/sample/docker/Dockerfileとして用意しています。

FROM arm64v8/ubuntu:bionic

ADD qemu-aarch64-static /usr/bin
ADD exec_entry.sh /bin

RUN apt-get update \
 && apt-get install -y --no-install-recommends \
    build-essential gcc-8 g++-8 gfortran-8 python3.7 python3-distutils python3-setuptools python3.7-dev python3-pip cmake unzip \
 && apt-get -y clean && rm -rf /var/lib/apt/lists/*
RUN update-alternatives --install /usr/bin/gcc gcc /usr/bin/gcc-8 800 --slave /usr/bin/g++ g++ /usr/bin/g++-8 \
 && update-alternatives --install /usr/bin/gfortran gfortran /usr/bin/gfortran-8 800 \
 && update-alternatives --install /usr/bin/python python /usr/bin/python3.7 800
RUN python -m pip install Cython
RUN chmod +x /bin/exec_entry.sh

ENTRYPOINT ["/bin/exec_entry.sh"]

※Dockerfile変更時は、上記の1,3,4,14,16行は変更しないでください。動作のために必要です。

インターネット接続にProxyサーバが必要な場合

RUN apt-get update \

の前の行に、以下を追加してください。
ProxyサーバのURL及びポート番号は、使用するProxyサーバに即したものに変更してください。

ENV http_proxy=http://proxy.example.com:8080/ https_proxy=http://proxy.example.com:8080/

Dockerイメージの作成

4.1章で作成したDockerfileを使用して、Docker Imageを作成します。

Docker Imageは、Dockerfileが存在するディレクトリで作成します。

$ cd external/build/sample/docker/
$ docker build -t compile/ubuntu-rel:0.1 .

エラーなく作成が完了したら、compile/ubuntu-relというリポジトリが作成されていることを確認してください。

$ docker images
REPOSITORY           TAG                 IMAGE ID            CREATED             SIZE
compile/ubuntu-rel   0.1                 ca4409cf01fd        45 minutes ago      559MB

Dockerfileが存在するディレクトリに、以下の2ファイルが存在することを確認してください。

  • exec_entry.sh

  • qemu-aarch64-static

これらのファイルは、Pythonモジュール作成時に必要となります。
削除しないでください。

Pythonモジュール作成

コンパイル

AdamApp用Pythonモジュールは、以下手順で作成します。

  1. external/build/sample/docker/docker_volumeディレクトリにソースファイルを配置する。

  2. external/build/sample/docker/docker_volume/module_compile.sh にコンパイル手順を記載する。

  3. dockerを実行し、コンパイルを行う。

  4. external/build/sample/docker/docker_volume/install_pathディレクトリに作成されたモジュールが配置される。

以降の節にて、NumPy及びOpenCVの作成手順を例として記載します。

ソースコードダウンロード

Numpy及びOpenCVのソースコードを以下URLからダウンロードしてください。

Numpy 1.14.9:

https://github.com/numpy/numpy/archive/v1.19.4.tar.gz

OpenCV 3.4.7:

https://github.com/opencv/opencv/archive/3.4.7.zip

ダウンロードしたファイルは、external/build/sample/docker/docker_volumeディレクトリに配置してください。

コンパイル手順更新

external/build/sample/docker/docker_volume/module_compile.shファイルに、コンパイル手順を記載します。

コンパイル手順記載時は、以下事項にご注意ください。

  • dockerを実行した際、external/build/sample/docker/docker_volumeが/home/dockerとしてmountされます。

  • ソースファイルやコンパイルディレクトリも/home/dockerに配置されます。

  • コンパイル済みモジュールは/home/docker/install_pathにインストールするようにしてください。

  • OpenCVのコンパイルには、NumPyモジュールが必要になります。

サンプルスクリプトとしてmodule_compile.shを用意しているため、今回はmodule_compile.shの変更は不要です。

コンパイル

dockerを用いてNumPyモジュール及びNumpyモジュールをコンパイルします。

external/build/sample/docker ディレクトリにて、以下コマンドを実行してください。

$ docker run --rm -it --name aarch64-ubuntu -v `pwd`/docker_volume:/home/docker compile/ubuntu-rel:0.1

このコマンドを実行すると、external/build/sample/docker/docker_volume/install_path以下に、コンパイル済みモジュールが作成されます。

AdamAppに配置

作成されたモジュールを、AdamAppで使用できるように配置します。

本ページではsrc/adamapp-py/jpeg_appを例とします。

Numpy

NumPyモジュールは以下ディレクトリにインストールされています。

external/build/sample/docker/docker_volume/install_path/lib/python3.7/site-packages/numpy-1.19.4-py3.7-linux-aarch64.egg/numpy

上記ディレクトリの中身を、ディレクトリ構成そのままで、AdamAppソースディレクトリにコピーしてください。

src/adamapp-py/jpeg_app/python/site-packages

$ cp -R external/build/sample/docker/docker_volume/install_path/lib/python3.7/site-packages/numpy-1.19.4-py3.7-linux-aarch64.egg/numpy src/adamapp-py/jpeg_app/python/site-packages

コピー後のディレクトリ構成は以下のようになります。

src/adamapp-py/jpeg_app/python/site-packages/numpy

OpenCV

OpenCVについては、Python用モジュールだけではなく、OpenCVライブラリも必要となるため、あわせて配置します。

OpenCV Python用モジュールは以下ディレクトリにインストールされています。

external/build/sample/docker/docker_volume/install_path/lib/python3.7/dist-packages/cv2

 上記ディレクトリの中身を、ディレクトリ構成そのままで、AdamAppソースディレクトリにコピーしてください。

src/adamapp-py/jpeg_app/python/site-packages

$ cp -R external/build/sample/docker/docker_volume/install_path/lib/python3.7/dist-packages/cv2 src/adamapp-py/jpeg_app/python/site-packages

コピー後のディレクトリ構成は以下のようになります。

src/adamapp-py/jpeg_app/python/site-packages/cv2

OpenCVライブラリは以下ディレクトリにインストールされています。

external/build/sample/docker/docker_volume/install_path/lib

上記ディレクトリの libopencv_world.so.3.4.7を以下ディレクトリにコピーしてください。

例)src/adamapp-py/jpeg_app/external/lib/aarch64-linux-gnu/

$ cp -R external/build/sample/docker/docker_volume/install_path/lib/libopencv_world.so.3.4.7 src/adamapp-py/jpeg_app/external/external/lib/aarch64-linux-gnu

コピー後、シンボリックリンクを作成してください。

$ cd src/adamapp-py/jpeg_app/external/lib/aarch64-linux-gnu/
$ ln -s libopencv_world.so.3.4.7 libopencv_world.so.3.4
$ ln -s libopencv_world.so.3.4 libopencv_world.so

不要なファイルの削除

AdamAppでは、Pythonキャッシュファイル(__pycache__)は使用しません。

容量削減のため削除することをお勧めします。

$ cd src/adamapp-py/yuv_yolo_app/python/site-packages/numpy/
$ find . -name *pycache* -print | xargs rm -rf

また、作成されたOpenCVライブラリには、ライブラリのデバッグに使用するための情報が含まれています。

アプリケーション実行時には使用しませんので、容量削減のためデバッグ情報を削除することをお勧めします。

$ cd src/adamapp-py/yuv_yolo_app/external/lib/aarch64-linux-gnu/
$ aarch64-linux-gnu-strip -strip-debug libopencv_world.so.3.4.7
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